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キリバンは米英小説です
-雨後幸せ-
「雨・・・。」
窓の外を眺めながら俺はつぶやいた
俺が大好きな恋人の家にやって来たのが一週間前
それから今日までずっと雨
「あーもう、いい加減晴れてほしいんだぞ!一週間ずっと雨じゃないか!!」
ついに痺れを切らした俺は窓の外の雨雲へ向かって叫んだ
だって一週間も雨なんだぞ?
大空で飛行機を操縦するのが好きな俺にとってこんな辛いことはない
ここへ来る前に菊から貰った数個のゲームも全部終わってしまったから余計暇だ
窓の外に向かってただひたすら文句を言う
そんな俺に対し君は、最近巷で流行っているイギリスが舞台の魔法小説の最終巻を手に優雅なアフタヌーンティーを楽しんでいる
あーぁ、そんなチープな小説に出て来る眼鏡の主人公より俺の方が眼鏡が似合うし格好いいのに
君はさっきから小説に夢中で俺の方を見向きもしない
なんだいなんだい、雨はやまないし君はこっちを見てくれないし
「今日も雨、昨日も雨、きっと明日も雨…いったいいつやむんだい!!」
もう俺は我慢の限界だった
「うるさいぞアルフレッド。しょうがねぇだろ、ここはイギリスなんだ。それくらい我慢しろ。」
俺が相当うるさかったのか、君は本を読む手を止めた
そんなことくらい俺だって分かっている
一体どのくらい君と一緒にいると思っているんだい?
「でも、せっかく君と一緒にいるのにデートができないだなんてつまらないんだぞ。」
そう、問題はそこなのだ
せっかく数ヶ月ぶりに合えたというのに、このままじゃデートもできない
ため息を吐きながら何気なく君の方を見てみると、君は顔を耳まで真っ赤にさせていた
きっと俺がデートと言ったから照れているんだろう
あーもう!可愛すぎるよ君は!!
はぁ、本当に神様は残酷だよなぁ
あんなに可愛い君と一緒にデートできないだなんて
俺、なにか悪いことしたかい?
窓に向かって俺は大きく頬を膨らませながらブーたれた
それから何分経っただろうか
今まで静かに本を読んでいた君が、おもむろに立ち上がってこっちへやって来た
「ど、どうしたんだい?」
なにか考え事をしているようで、眉間にしわを寄せていた君は俺の目の前まで来ると突然ニッと口の端をあげて笑う
「アルフレッド、一つだけ方法があるぞ。」
突然のことで俺は君が一体何を言っているのかよく分からなかった
「な、何がだい?」
「だから、天気を変える方法だよ!」
そう言うと、君は俺の腕を引っ張って部屋を出た
「どこに行くんだい!?」
「地下室だよ!!」
そう言うと君はさっきよりも急ぎ足で俺を引っ張る
とりあえず俺はおとなしく君付いて行く事にした
「で、一体何なんだいその方法っていうのは。」
地下室は薄暗く、なんだか怪しげな雰囲気だ
まぁ、君の家は大概怪しいところだらけなんだけど
「多少のリスクを伴うがいいか?」
俺の方を振り向いた君はいきなり深刻そうな顔をした
「リスクって…例えばどんな?」
そんな顔で言われると、なんだか不安になって来るじゃないか!
ドキドキと五月蝿いばかりに動く心臓の音を聞きながら俺は生唾を飲んだ
「あー、下手すると明日から嵐になるな。」
明日から嵐
それは、結構深刻なことだ
なにが深刻って、俺じゃなくて君が一番の被害を受けるってことだ
大好きな君に被害が及ぶのは正直あまり…いや、かなり好ましくない
でも…
「…それでもいいんだぞ。」
そう、たとえそれでも俺は…
君と一緒にデートをしたいと思った
少しでも可能性があるなら、試してみる価値はあるだろう?
大好きな君と過ごすことにリスクもクソもないのだ
「分かった。それじゃぁ、行くぞ。」
そう言うと君は床に書かれた魔方陣の中心に俺を引っ張り込み、怪しげな呪文を唱え始めた
まさかとは思ったけど、やっぱり魔術系統か…
いくつかの呪文を唱える内に君の身体がだんだんと光はじめた
…って、光はじめた!?
ちょっ、ファンタジーにも程があるんだぞ!!
そうこうしているうちに俺もだんだんと大きくなる光に包まれた
もう目の前には光しか見えなくて、俺はあまりの眩しさに目を閉じる
その瞬間
俺の唇になんだかやわらかいくてかさついたものが触れた
俺がよく知っている慣れた感触
これって、もしかして…
「んぅ…、終わった…か。この様子じゃ成功したみたいだな。」
眩しいばかりの光の中から君の声と小さな子供の声が聞こえた
多分君が言うところの天候を司る妖精かなにかだろう
本当、君の家はファンタジーだな…
光がおさまり、目を開けると目の前には魔術の成功にホッとした君がいた
少し疲れたのか、こちらにゆるくしなだれかかってくる
感嘆の声を漏らす君は成功したのが心底嬉しそうだ
実際、魔術は相当なリスクを伴うらしいから俺も成功してホッとしている
俺は、腕の中にすっぽりとおさまっている君の頭を撫でながらさっきから気になっていたことを問いかけた
「あのさ、君さっき俺の唇に…」
俺がそう口に出すと、君はポッと顔を赤らめる
反応から見てどうやら肯定のようだ
君はバツが悪そうに俺から視線を外した
「しょ、しょうがないだろ!今回の魔術には、必要だったんだからよ。」
顔を真っ赤にして君が言う
照れているんだろうけど、俺から見たら可愛くて仕方がない
あーもう、本当に可愛いなぁ!耳まで真っ赤にしちゃってさぁ!!
たまらなくなった俺は君の唇に口付けた
いきなりだったからだろう、君は目をまん丸にして唖然としている
というより、何が起こったのか分かってないようだ
俺だってしたくてしたわけじゃないんだぞ
君が可愛いのが悪いんだ
ジッと顔を見つめる俺に、やっと状況を理解した君は口をパクパクとさせながら顔をさらに赤くした
もうほんと、可愛すぎ
俺はそんな君をおもいっきり抱きしめる
「うわっ!ちょ、何すんだよ!!」
いきなり抱きしめられた君は苦しそうに身をよじる
そんな君が愛しくて、可愛くて
「ほら、早くデートに行くんだぞ!」
そう言うと俺は君の腕を勢いよく引っ張った
だって、せっかく晴れたんだ、君と一分一秒でも長く過ごしたいじゃないか
顔を真っ赤にさせた君を連れて、俺は意気揚々と家の外へ飛び出した
さぁ、早く出掛けよう
大好きな君と共に
大好きな青空の下へ
(おまけ 英視点)
-雨後笑顔-
大好きな恋人がここ数日間不機嫌だ
まぁ、原因は分かっている
天候を変える魔術が無いわけじゃないけど、俺としてはあまり使いたくない
だって、俺はお前と家で一緒に過ごすだけで十分幸せだから
わざわざ大きなリスクをおかす必要もないだろう
でも、雨につられてどんよりと悲しそうな顔をするお前を見ていると
なんだかこっちまで悲しくなって来る
お前に太陽みたいな笑顔をして欲しくて
気が付いたら、俺はお前を引っ張って魔方陣の中にいた
魔術の途中で、必要だからとキスを自分からした
本当は必要ではないのだが、俺のやる気にかかわる結構重要な事なのだ
久しぶりに触れるお前は暖かくて、心地良くて
すっごく安心した
いきなりキスされて抱きしめられたのは驚いたけど
本当の事を言うとすっごく嬉しかった
俺はお前の笑顔が見れるだけで幸せだから
お前が笑顔になってくれるなら
俺はどんなリスクもおかそう
お前と一緒なら
そんなもの簡単に跳ね除けられるのだから
Fine blue sky is carried the smile.